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宮崎琢磨「技術空洞」

技術空洞 Lost Technical Capabilities (光文社ペーパーバックス)

技術空洞 Lost Technical Capabilities (光文社ペーパーバックス)

読了した。著者の名前をググるとメディアに結構出ていた人(たとえば、藤本健のDigital Audio Laboratory)のようだ。

内容的には世間で言われていることを体系的にまとめてあるだけ、といえばそのとおりなので、細かい事情を除けば特筆すべき新しい発見や告発みたいなものは無いのだけれど、筆者が現場の視点で感じた閉塞感があまりに生々しく、胸が締め付けられるような気持ちになった。

メーカーである以上、商品の付加価値の源泉は技術であることはこれからも変わらないし、技術はエンジニアの自由で創造的な仕事からのみ生まれる。マネジメントする側は定量的な評価基準でエンジニアを測ろうとするけれど、創造的な仕事は必ずしも評価フレームの中でのみ生まれるものではない、というのは過去の事例から言っても真実なのではないか。語りつくされたことではあるけれど、そういう意味でエンジニアの創造性やモチベーションを維持するにはどうすればいいかという問題はやはり重要だし、googleなんかで導入されている20%ルールなんかはその答えの1つなんだろうと思う。

某で聞いたスピーチなんか僕に言わせても正直酷いものだったし、そういう認識の人がいまだ残っているのが一つの現実なんだろうと思う。それも受け入れてこれから、という決意を新たにする意味では、まぁ読んでよかったかな、という気がする。