働くということ
- 作者: 日本経済新聞社,日経=,日本経済新聞=
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2006/09
- メディア: 文庫
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RSSで購読しているblogで紹介されていたので読んでみた。
新聞記事の書籍化なので、1エピソードが短く感情移入しかかったところで次へ行ってしまうことと、日経記者の奥歯に何かが挟まったような書き方(これはおそらくわざとだと思う)が若干微妙だったけれど、面白く読めた。
この本で登場する人たちが共通して感じている閉塞感の原因って、戦後ずっと続いてきた経済成長が終わり、社会が成熟してしまうとパイが拡大し続けることを前提として成立していた新卒一括採用→大企業→終身雇用が人生の成功の方程式ではなくなってしまった事にあるんだろう。大会社に入ってもいつ首を切られるか分からないし、同期の中で管理職になれるのは数十人に一人、というか会社が自分が退職するまで存続している事自体不確かだ。若い世代はそういう不満に加えて上がつかえているからなかなかポストをもらえない、重要な仕事を任されない、定年が見え始めた世代は若い人に堪え性がない、成果を急ぎすぎる、俺たちは10年泥のように働いたのにと嘆いて世代間の対立が生まれている。
対策の方向性は明らかだ。ダブルスタンダードを解消し、痛みを正社員と非正規雇用労働者のあいだで適正に分配するしかない。それには、賃下げや降格、解雇も含めた正社員の雇用規制を大幅に見直し、人材流動化を推し進める労働ビッグバン以外にはありえない。
多分そういうことなんだろう。どういったポジションを得て、どれぐらいのお金を得て働くかを主体的に選べるようになることが、相対的に多くの人が幸せになれる道なのではないかと思う。