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人生とは旅であり、旅とは人生である

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プロになって以来、「サッカー、好きですか?」と問われても「好きだよ」とは素直に言えない自分がいた。責任を負って戦うことの尊さに、大きな感動を覚えながらも子供のころに持っていたボールに対する瑞々しい感情は失われていった。


けれど、プロとして最後のゲームになった6月22日のブラジル戦の後サッカーを愛して止まない自分が確かにいることが分かった。自分でも予想していなかったほどに、心の底からこみ上げてきた大きな感情。


それは、傷つけないようにと胸の奥に押し込めてきたサッカーへの思い。厚い壁を築くようにして守ってきた気持ちだった。


これまでは、周りのいろんな状況からそれを守る為ある時はまるで感情が無いかのように無機的に、またある時には敢えて無愛想に振舞った。しかし最後の最後、俺の心に存在した壁は崩れすべてが一気に溢れ出した。


という感動的な文章とともに中田英寿は現役を引退したわけです。正直すごいすごいとはいわれていても、股関節の故障以後の中田はスタメン落ちしたり、カップ戦要因だったりしたわけで、ペルージャとかローマにいた頃の輝きは失われていたと思うし、彼自身もそれを感じていたのではないかと思う。

絶対に有り得ないことだとは思うけど、もし中田がW杯前にこれで現役を引退すると発表していたら、今回の日本代表の結果は少し変わっていたかもしれない。彼が日本代表に望むものが気持ちの面にあるというのなら、そういう方法をとってくれてもよかったかもしれない。ちょうど今のフランスのように。

サッカーが好き、でもサッカーを極めるほど自分を取り巻く状況がサッカーを嫌いにしてしまうというジレンマ、これはどの世界にもあるものなのだろう。一番好きなものを仕事にするべきではない、もしそうすればきっとそれを嫌いになってしまう、と昔誰かに言われたことを思い出した。

そう思うと僕には本当に好きなものがなくてよかったのかなとも思うし、それをとても悲しくも思う。


これまで一緒にプレーしてきたすべての選手、関わってきてくれたすべての人々、
そして最後まで信じ応援し続けてきてくれたみんなに、心の底から一言を。


“ありがとう”

こんな言葉が自然に出てくるようになればいいね。