クリステンセン「イノベーションのジレンマ」
イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)
- 作者: クレイトン・クリステンセン,玉田俊平太,伊豆原弓
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2001/07
- メディア: 単行本
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「偉大な企業はすべてを正しく行うが故に失敗する」
電車での移動中ちょこちょこ読み進めていたので意外と時間がかかったが、今日読了。大枠は院で技術経営の授業を受講したとき触れられたので知ってはいたが、それでもやはり得るものは大きかった。世間で名著だと言われるのも納得できるし、特に大企業に勤める人、そのつもりの人は必読だと思う。
経営者にとってのジレンマは、プロセスがその性質上、従業員が反復作業を一定の方法で行う為に確立されているということだ。〜(中略)〜つまり、組織が価値を生み出すメカニズムそのものが、本質的に、変化を拒むのである。
本書で調査した各業界では、技術者は、市場が必要とする以上の、あるいは市場が吸収する以上のペースで性能を高めることができた。歴史的にみて、このような性能の供給過剰が発生すると、破壊的技術が出現し、確立された市場をしたから浸食する可能性が出てくる。
ここ一週間ぐらい家電量販店の店頭に立っているのだけれど、画素数、画質といった面では液晶テレビもカムコーダも市場が必要とする以上の性能を供給しているような気がする。このような状況下で破壊的技術が生まれるとすると、それは任天堂がWiiで見せたような、ユーザインターフェースの革新であったり、Appleがipod+itunes+iTMSで見せたようなデバイスとネットワークのシームレスな連携が生み出す便利さだったりするんだろう。老人や女性でもオンデマンドで好きなコンテンツを視聴できたり、撮った写真や動画を簡単に保存し、家族で共有し、大型TVで楽しむことができるようなデバイスが求められていると思う。
多分ソニーのストリンガー会長が言っているのもそういうことで、自社でコンテンツを保有していることがDAPのときは足かせとなった訳だけど、Appleは現時点ではApple TVで既にそれをやろうとしているけど微妙な感じだし、TVやカムコーダ、DSCと言った分野でデバイスとネットワークのシナジーを生み出せる可能性が一番高いのはソニーなんだろうなとやっぱり思うんだが、どうなんだろうか。
就職活動をしている研究室の後輩と話してみて、彼が大企業に入れば一生安泰みたいな考え方でいたので割とびっくりしたのだが、いろいろな意味でそんな時代は終わっているんだよね。決して沈まないように見える巨大な船にも既にいくつか亀裂が入っているかもしれないし、どうせ大きな氷山にぶつかれば沈んでしまうのだから。